千原こはぎ歌集『ちるとしふと』感想

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私たちが千原こはぎの本に,千原こはぎに惹かれるのはなぜだろう,と本を開く.

見事な巻頭歌だ.

玄関のドアをひらけば吹いてくる風のことです春というのは

歌集の表紙という扉を開けて初めに吹き込んでくる風が,この一首である.心のドアを開け放つ.爽やかに吹き込む新しい予感に胸をときめかせる一瞬を「春」というあたたかくやさしいことばで迎え入れる.ドアをひらいて出て行った先でスキップしたいような,逆にしゃんと背筋を伸ばして歩きたいような,なんとも言えない期待感で満ちている.

『ちるとしふと』はほとんど恋歌で構成された歌集であるから,それを踏まえると,出会いの季節,恋のはじまりにときめく主体が浮かび上がってくるようにも思える.

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なべとびすこ歌集『ふるさとと呼ぶには騒がしすぎる』感想

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ある日家のポストを覗くと一通のスマートレターが届いていた.年金機構でもAmazonでもない私宛の手紙は珍しい.

差出人はなべとびすこさん.この春,文学フリマ東京にて発行した初めての歌集『ふるさとと呼ぶには騒がしすぎる』を送ってくれたのであった.

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